ブランドロゴを数種類持つ意味
2020.08.03
突然ですが、問題です。
家族でドリンクを買いに行きました。お父さんは「プレミアムモルツ」を、お母さんは「南アルプスの天然水」を、小学生の息子くんは「C.C.レモン」を選んだとします。これらは全て「サントリー」から発売されています。
この中で「ブランド」はどれでしょう?
答えはこのコラムの中で。
* * *
ブランドロゴ(以下ロゴ)をお持ちの企業様は多いと思いますが、中には数種類のロゴをお持ちの企業様も珍しくありません。
最近、私のところへロゴについてのご相談が同時に寄せられたのでご紹介します。
Aさん:「うち、系列内のお店によって売っているものが少しずつ違うので、お店によってロゴを変えているんです。」
Bさん:「うちの新しい事業は企業全体のイメージとはちょっと違うので、ロゴの色のイメージは同じですが書体を変えています。」
Cさん:「創業100年の中で、ロゴの変更がありました。今はそのロゴを主に使っていますが、商品によっては昔のロゴも使っています。」
A・B・Cさん『でも、これってどうなんでしょうか??』
皆さんはAさん、Bさん、Cさんの疑問について、どう思われますか?
ブランディングの観点からお話ししますと、まずはロゴの「役割」から考える必要があります。
どの企業様にも、お客様に「こう思われたい」という想いがあると思います。
ブランド名を認知させる際に企業の「こう思われたい」イメージを具現化してお客様に伝えるためのツールが、“ロゴ”です。
またひとくちにブランドと言っても、ブランドには「階層」があり、企業ブランド、事業ブランド、商品ブランドなどと複数階存在します。
ここで冒頭の問題の答えですが、「 」内は全てブランドでした。「サントリー」は企業ブランド、他は商品ブランドとなります。
どの階層のブランドなのか、どの事業や商品の「こう思われたい」を形にするのか、それによってロゴの作り方が異なってきます。
例えば “喉が渇いた時” には、「サントリー」という企業ブランド名よりも、商品のロゴをダイレクトに思い浮かべるでしょう。
CMやパッケージのデザインとも相まって、爽やかな炭酸のイメージ、高級な泡のイメージなどもロゴから想起されるでしょう。
一方 “伝統があり信頼できる飲料企業” を思い浮かべる時には、企業ブランドである「サントリー」を思い出すのではないでしょうか。
「どんな時に思い出してほしいか」というシチュエーションを想定しておくと、ブランディングの際に効果的です。
先ほどのご質問を例として具体的にお話しします。
Aさん
お店によって売っているものが少しずつ違う・・・「少しずつ」がどの程度なのかにもよりますが、基本的には系列内のお店(事業ブランド)として統一感を出すことを重視した方がいいので、「△」です。
伝統のある企業であれば、すでに多くのお客様から認知されていることが多いので別のロゴにするのは危険が伴います。
→ただしお店ごとにコンセプトが異なり、“ターゲットを分けたい” 場合は、ロゴを個別に作ることは効果的です。その場合、「ゼロの状態から認知してもらう」ことが必要になってくるので、そのための戦略を立てた方がよいでしょう。
Bさん
会社のロゴを特定の事業用に、色はそのままで書体だけ変えている・・・違う階層(企業ブランドと事業ブランド)を同等に扱ってしまっているので、「×」です。
→同じ「会社名」で複数のロゴがあるのは、一貫性が保てず、お客様が混乱してしまいます。特定の事業ブランドは別の名前を付けた方が、企業ブランドと分けて認知され、お客様にも伝わりやすくなるでしょう。
Cさん
企業ロゴが時代を経て複数あり、混在している・・・その企業に対するイメージが確立されにくいので「×」です。
→複数のロゴを目にすると、Bのケースと同じように一貫性が保てずお客様が混乱してしまう可能性が高まります。企業のコンセプトを明確にし、改めてターゲットにどう認知してもらいたいかを固めた上で、どんなロゴを使うか決めるのが効果的でしょう。
ターゲットがロゴを目にする度にそのイメージが少しずつ記憶として蓄積され、必要な時に思い出され、それが行動となり、やがては売上につながります。
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